SigNoz は OpenTelemetry を基盤にしたオープンソースの可観測性プラットフォームです。ログ・メトリクス・トレースを1つのツールに統合し、APM・分散トレーシング・インフラ監視・LLM可観測性などをセルフホストで提供します。Go製バックエンドとReact/TypeScript製フロントエンド、ClickHouseによるデータストアで構成されています。
バックエンドは cmd/community と cmd/enterprise の2系統のGoバイナリで構成され、どちらも `server` サブコマンドで起動します(ENTRYPOINTは `./signoz server`)。テレメトリデータはOpenTelemetry Collector経由でClickHouseに書き込まれ、telemetrystore-migrator がスキーマのブートストラップとマイグレーションを担当します。フロントエンドはVite・React・antdベースで、`pnpm build` の成果物がDockerイメージ内の `/etc/signoz/web/` に配置され、Goバイナリが配信します。認可周りは `cmd/authz.go` がGoの権限定義からTypeScript向けの `permissions.type.ts` を自動生成する仕組みで、ee配下にはOpenFGAベースの認可(openfgaauthz)やSAML/OIDCコールバック認証、ライセンス管理、匿名テレメトリ送信などEnterprise限定機能が分離されています。開発環境は `.devenv/docker` にClickHouse・Postgres・Collectorのcompose定義があり、統合テスト・E2Eテストはpytestでコンテナ群を起動し、PlaywrightでUIを操作する構成になっています。
- STEP 01
`deploy/install.sh` などのインストールスクリプトを実行すると、DockerでClickHouse・SigNozサーバー・Otel Collectorなどのコンテナ群が起動します。
- STEP 02
初回アクセス時に管理者ユーザー登録画面が表示され、READMEに記載の手順に沿ってメールアドレスとパスワードを設定します。
- STEP 03
APM・ログ管理・メトリクスダッシュボードなどの画面が表示されますが、実際にデータを見るには自分のアプリにOpenTelemetry計装を追加してテレメトリを送信する必要があります。
- STEP 04
開発者としてソースから動かす場合は `tests/` 配下の統合テスト環境(`make py-test-setup`)を使うと、ClickHouse・Postgres・Zeusモックなどを含むコンテナ群がpytestで一括起動されます。
- STEP 05
フロントエンドを単独で触る場合は `frontend/` で `pnpm install` 後に `pnpm dev` を実行し、Viteの開発サーバーが立ち上がります(バックエンドAPIとの接続設定が別途必要です)。
自前のインフラ上でログ・メトリクス・トレースを一元的に見られるダッシュボードとクエリビルダーが手に入ります。ただしCommunity版でNoz(AIチームメイト)は使えず、それはSigNoz Cloud限定機能です。OpenFGA認可やSAML/OIDCなど一部機能はee(Enterprise)配下に分離されています。
READMEやファイル構成から、Community自己ホスト版とEnterprise版で機能差があることが明確です。特にAIチームメイトNozはSigNoz Cloudのみと明記されています。
動作にはClickHouse・PostgreSQL・OpenTelemetry Collectorなど複数コンポーネントが必要で、単一バイナリだけで完結する構成ではありません。
実際の可観測性データを見るには、監視対象のアプリケーション側にOpenTelemetry計装を追加する作業が別途必要です。
開発・テスト環境の構築にはDocker・Python(uv)・Node/pnpm・Playwrightなど複数のツールチェーンが要求され、セットアップの手間は小さくありません。
自社インフラでログ・メトリクス・トレースを統合管理したいチームや、DatadogやNew Relicのコストを抑えたいチームに向いています。Go・React・ClickHouseという明確な技術構成と、community/eeディレクトリの分離、CI設定ファイル群、詳細な統合・E2Eテスト手順書が揃っており、README記載の機能と実装コードの対応が取れているため、実際にインストールしなくても構成の妥当性は判断できます。ただし本格運用の可否は、自分の環境でOpenTelemetry計装からダッシュボード表示までの一通りの導線を試してから判断するのが安全です。